レベル7(セブン)  宮部みゆき
久々に宮部ミステリを読んだ。さすが一つ一つの描写が細かく丁寧な印象。ここまで詳しく書く必要あるの? と思わなくもないんだけど、それでもリーダビリティが素晴らしいので、サクサク読めちゃいますな。

しかし、内容に関してはそこまで特別なものではなかったように感じるものだ。「現在起こっている事件が過去の事件に関連している」というパターンは、これまでに一体何回読んできたことやら……。

本書は20年以上前の作品ではあるけれど、その当時からずーーっとこの手のネタは代わり映えしないのかもしれない。

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当然ながら、同じパターンでも作者によって肉付けが変わってくるので印象もまた変わってくるのだけど、過去の事件に関する伏線の入れ方に著者のセンスが表れるのだろうね。

正直、宮部さんの場合は、ちょっとご都合的に感じてしまう部分が多かったように思えてしまう。読んだ人によっても感じ方は違うのだろうけど、僕はそう感じてしまったわけで……。


“主人公の手記”に驚愕
特に、“主人公の手記”には驚かされずにはいられない。事件の核心をつくような情報が出てくるわ出てくるわ。どれだけ情報収集能力が高いんだよ、主人公(正しくは記憶を失くす前の主人公)

その情報の出所というのも手記という体裁をとっていることにより、詳しく描写されることがないので性質が悪いとしか言いようがない。その紙切れに問い質すわけにもいかないわけだし、登場人物たちもそれを只々鵜呑みするだけだったのが何とも言えないですな。


まさか主人公までも探偵役のようなポジションを担っていたとはね。その他にも、探偵役のような人物はちゃんと存在しているし、チョイ役ではあったけれど職業探偵という人物も登場するなど、本作はちょっと探偵役が多過ぎやしませんか? 

まあ、そのくらい謎が謎を呼ぶミステリという感じになってはいたけれど。


“記憶障害”の研究は興味深かった
それにしても、アル中やノイローゼ治療のために“記憶障害”の研究をはじめたという記述に関しては、ちょっと興味深かったです。上手いこと“お酒を好きだった記憶”を除いて過去を思い出すことが出来れば、これ以上ないほど素晴らしいことだとは思う。

発想自体は凄いんだけど、実際にはそんな都合のいい薬やなんてないのだろうね。作中に出てくる“パキシントン”という薬物も架空のものみたいだし。




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