二重人格 ドストエフスキー
「二重人格」というタイトルにはなっているけど、ビリー・ミリガンのような1人の人間の人格が入れ替わるという感じではなく、どちらかと言えばちゃんとした実像を持ったドッペルゲンガー的なものが登場する作品でした。

まあ、本書のドイツ語訳だと「ドッペルゲンガー」というタイトルのようだし、それを日本語に訳した場合、なかなかピッタリとくる言葉が見つけられなかったということなのかもしれない。

岩波文庫Ver.の初出が60年くらい前のことなので仕方がないですな。


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本書は、そのドッペルゲンガーにより自身の立場を乗っ取られてしまう主人公が描かれている。社会的に抹殺、非常に遣る瀬無い。


そもそも、ドッペルゲンガーが出てくる前でも、皆で寄ってたかってハゲちらかした中年オヤジ(主人公)をいじめているようにも見受けられるので、まあ胸糞悪いです。

確かに常人外れした行動を取ったりするなど、“いじめられる素養”を持っているのは否めないんだけど、もっと優しく接してあげろよと何度思ったことやら。

電車内でくたびれて眠りほうけた中年オヤジを、「キモイ」と言いつつ盗撮してツイッターに流してしまうような輩を想起させられてしまうものだ。ま、そのくらい本書を読んでいると、主人公がかわいそうな気持ちになってくる。


しかし、ある時ふと「これは全て主人公の妄想・幻覚なのでは?」と思うようになってから、空恐ろしい気持ちになってきた。

冒頭に精神科医に通っている描写もあったことだし、これが伏線といえば伏線だったのかもしれない。ドッペンゲンガーが初登場した時点で、主人公は精神錯乱を起こしていたと考えれば、全てがシックリくると思えなくもないんだよね。


自分の幻影に醜聞を振り撒かれ、理不尽な思いをしていた主人公。そういった自分の窮地を他人に気付いて欲しいと躍起になっていたものの、周りの人間こそ主人公に翻弄されていたのかもしれない

そして、最後には発狂。ちょっと悲惨すぎて目も当てられません……。




二重人格 (岩波文庫)
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