クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)引き続き、久々に本シリーズを再読していきます。

今回は、主人公がずっと逃げ続けるという“逃避行”ばかりが描かれていた、そんな塩梅。飛行シーンも最後にちょろっとあっただけかな?(あとは妄想) 物語が大きく動くということもなく、ただただ一人称「僕」の正体にモヤモヤさせられる感じかもしれない。

そういう意味では、ミステリ作として読むと面白いのでしょう。いわゆる叙述ミステリ。結局、最後まではっきりとした答えも出てこないし、ある種著者の森さんらしさが存分に出ている作品だと言えるのかも(すっきりしない、この感じ)

【以下、ネタバレ気にせず書いていきます】

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読み始めは思いっきり前作主人公のクリタが本作でも主人公なのだと思っていたんだけど、クライマックスに差し掛かってくると、その考えが一気に覆される感じですな。


サガラさんによる薬の投与によりキルドレに“戻った”と言及されているので、キルドレから普通の人間になっていた人間は只1人しかいないから、自ずと本作の主人公はクサナギ・スイトであると推察される

でもそうなると、クサナギが最初に病院から抜け出した時、なぜフーコに電話したのかという疑問も沸き起こってくるものだ。フーコの方も、クサナギから連絡をもらってあれだけ喜んだりするだろうか? そして、フーコに電話をする前に身を寄せていた女性は誰なのかも気になってしまう。


★クサナギからカンナミへ
てっきり、前作の終盤に起こった大規模プロジェクトにクサナギも参加していて、それで病院送りになったのかと思ったけれど、そうではなく、それより先に何かしらの形で病院送りになり、薬により記憶が改竄され(消去)、「カンナミ」と周りから言われる人物になったのかもしれない。

もしかして、性転換のようなことも行われたのかなぁ? それで大規模プロジェクトが発生する前にフーコと接触していたと解釈すれば納得できなくもないや。

たぶん、クサナギは前作でクリタと電話で別れを交わした後、自殺でも図ったのかもしれない。その辺は本人がさんざんほのめかしていたわけだし……、そこを会社の方が放っておかずに生き長らえさせたのでしょう、たぶん。


しかし、なぜカンナミという名前になったのか? 「ダウン・ツ・ヘヴン」にもカンナミ少年という記憶喪失の人物が出てきていたけれど、これがほんと未だに謎人物。

クサナギの夢の中で「僕は、あなた以外じゃない」と発していたことから、クサナギの妄想の産物か? と、自分としては解釈していたものの、そのままの意味で「クサナギ=カンナミ」と考えてもいいのかもしれない、なんとなく。

クサナギにとって、カンナミという思い入れのある人物が過去にいたのか、はたまた自分の別人格としてカンナミが存在するのか、その辺は想像にお任せということか。


★前作からの時系列(妄想)
あと、前作からの時系列はこんな感じなるのかなと、勝手に妄想してみる。


1.「死なないで下さい」「どうか、お元気で」、クサナギとクリタ今生の別れ。
2.しかし、クサナギは自殺を図る(キルドレじゃなくなり、いずれ空を飛べなくなる事を苦に)
3.会社側が発見し、一命を取り留める。
 一連の騒動ならびに、クサナギがキルドレじゃなくなったことが世間に洩れないよう、
 病院で薬により記憶を改竄&隔離。クサナギは戦死したと世間には発表。
4.サガラが病院に面会に来て薬を投与。再びキルドレに。
5.カンナミとして戦線復帰。フーコにもこの時期に接触。
6.大規模プロジェトに参加し、撃墜されるも助かる。再び病院へ。
 この時、同じく参加していたクリタがティーチャにより撃墜され病院送り。
 病院を抜け出したところを、司令官となったクサナギ(会社が用意した別人)に射殺される。
7.カンナミ、病院を抜け出しフーコと逃避行 → サガラと逃避行。


だいたいこんな感じだろうか。サガラさんが面会に来た時期がいつだったか、ちょっと覚えていないので前後するとは思うけれど。


しかし、この流れでいくと、「スカイ・クロラ」のクサナギは別人ということになるわけか、なるほど。本シリーズを刊行順に読むのと時系列順に読むのとでは、やっぱりだいぶ解釈の違いが出てきそうな気がするものだね。








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